他人と比べてしまう
【他人と比べてしまう人、こんなことありませんか】
ついつい他人と自分を比較して、落ち込むことが多い
ちょっとしたことで自分の居場所がなくなってしまうような気がする
見た目・性格・仕事など、自分より「上」の人が現れることを恐れてしまう
交際相手に対して、自分以外と付き合った方が幸せなのではないかと思う
人よりちょっと変わったことをしていたい
自分に少しでも落ち度があると、全部がダメなような気がする
親や周囲の人から、他人と比べられることが多かった
………
「他人と比べてしまう人」は、いつもどこか自分に集中できていない感覚があります。
比較対象になりそうな他人が現れるたびに心がざわざわと落ち着きません。
そして、そういう環境をなるべく避けたいという気持ちが強くなると、行動範囲を限定したり、転職を繰り返すことになったりして、生活に不便や制限を感じることがあります。
安心できる場所がどこにもない
「いつも他人と比べてしまう人」は、安心して過ごせる居場所を作ることが苦手です。
例えば、自分が働いていたアルバイト先に、自分より能力の高い新人さんが入ってきたり、周囲がその人を(自分が新人だった時よりも)ほめているのを目撃すると、坂を転げ落ちるように自信を無くしてしまいます。
また、カフェでのんびりしている時に、おしゃれをしたキレイな女性たちが来店すると、急に自分の見た目がみすぼらしく感じてしまい、楽しんでいたはずのお茶の味がよくわからなくなってしまいます。
他人の存在次第で気分が180度変わってしまうような心理状態を抱えているため、いつも心が休まらず、疲れやすい傾向があります。
そして、自分と他人と比べてしまう人は、「他者から比べられる不安」も抱えています。
そのため、仕事中でも周囲の人の言動につい意識が向いてしまったり、交際相手とデートをしていても、交際相手がほかの人を見ていないかが気になって、目の前のことに集中できません。
「役に立たないと思われる」
「いらないと思われる」
「あの人と比べて劣っていると思われる」
そんな気持ちをいつも心の片隅に抱えているため、他人のちょっとした言動やこそこそ話に対しても「私のことを言っているのかも…」と不安になりやすく、
被害妄想のような考えが頭から離れなくなってしまう場合もあります。
「自信のなさ」は本当に原因なの?
人と比べてしまうことの原因として、「自信のなさ」がよく挙げられます。
しかし、実際にこのようなお悩みを抱える方のお話を伺うと、「自信がない」では説明が足りないように思えることがあります。
それは「自信がない」という言葉が、「何を表しているのかわかるようでわからない言葉」であり、それゆえ解決策が見えてこない言葉だからかもしれません。
自信がない人にとって、「自信がないのが原因」という言葉は、時に漠然とした行き詰まりを感じさせる言葉でもあります。
では、この「自信のなさ」とは何なのかを、別の言葉で置き換えてみましょう。
他人に対する不信感
「自信のなさ」を別の言葉に置き換えるとしたら、まず「他人への不信感」が挙げられます。
つまり、この場合の「自信のなさ」とは「他人を信じることに対して自信を持てない」ということを意味します。
いつも他人に対して身構えているような感じがする
自分のせいで周囲を我慢させている気がする
勘違いされてしまう気がする
このような気持ちがある場合、もしかしたら「他人はその程度の人間かもしれない」という不安を抱えているかもしれません。
一般的に、人間関係というのは、お互いに関わり合うことで深まっていくものです。
関係が深まれば、ちょっとしたことで相手を嫌いになったり、「もっと条件の良い他人」がいたからといって簡単に切り捨てたりすることはありません。
でも、他人と自分を比較する傾向が強い人は、それを自分に適用させることが苦手です。
なので、自分がどれだけ相手のために頑張っても、そして相手がそれに応えてくれているように見えても、
心のどこかで、「でも、もっといい他人が現れたら私は捨てられてしまう」と感じます。
他人が自分を見捨てないという自信がもてない。
これは、見捨てられた、見放された、守ってもらえなかった…という経験がある方に多い感覚です。
自分に対する無力感
もう一つ考えられるのは「自分に対する無力感」です。
こちらは、自分の存在を評価したり決定するのは他者である、という感覚です。
つまり、自分の意志も、感情も、価値も、他人が「こうだ」と言えばそうなってしまう、だれも本当の自分のことは分かってくれない、という無力感を指します。
他人が自分の価値を決め、自分にはそれを覆す力がない
噂話をたやすく信じる人間が怖い
自分で「良い」と感じたものを他人が批判すると恥をかいた気になる
このような気持ちがあると、例えば自分より能力の高い新人が現れた時に「負けないように頑張ろう」とは思えなくなり、「新人の方が価値があるから、もう仕事をやめてしまおう」と感じます。
他人と比べられることを恐れる方が、転職を繰り返したり、通う場所を転々とするのは、
「自分には何の決定権もないので逃げるしかない」からともいえます。
他人に対しても自分に対しても無力であるため、自信の持ちようがない状態です。
カウンセリングで出来ること
もし、ここに書いたことが思い当たるように感じられる方がいらっしゃれば、
「他人に対する無力感がどこからきたのか。」
「他人を信じられない感覚はなぜそんなに強固になってしまったのか。」
それを見つけていくのが、カウンセリングでの一つの作業になるかもしれません。
例えば、昔、近所の子が自分の母親になついてしまったり、親が別のおうちの子供をとてもほめたりしていれば、それは
「親をとられる恐怖」
として、根強く心に残っているかもしれませんね。
自信をもつために出来ることは、何かを足していくことだけではありません。
時に記憶を整理したり、思いに名前を付けることによっても、叶うことがあります。
※記事の内容はお悩みの原因を決めつけるものではなく、考えられる背景について一例を述べています。